飼い主はかつてこの行動のきわめて印象的な実例を目撃したことかある。
あざやかな黄色の斑点をもった雄のジャガーと美しい黒い雌のジャガーかいた。
ネコはほとんど毎年母親に似て漆黒の健康な子どもをつくっていた。
その年は特別でこの巨大なネコは一匹の子を設けたがそれは生まれた日から病弱であった。
それでも飼い主が家畜園を巡回したその日には子どものジャガーはニカ月になっていた。
飼い主たちがこの猛獣の檻に近づいたときジャガーの子は最近成長が止まりその生存が気づかわれるといった。
飼い主たちはジャガーの母親がその子をネコのように洗っているつまり全身くまなく砥めているのをみた。
たいへんな家畜好きで家畜園の常連たったある女流画家がたまたま檻のそばに立っていて病気の子どもに対する母親の気づかいに頷いていた。
しかし悲しそうに頭を振り飼い主のほうをみた。
家畜行動の専門家へジャガーの母親の心の中には何か起こっているか?。
飼い主は彼が何を言おうとしているのか直ぐに分かった。

雌ネコの砥める動作は奇妙にもいらだたしげで気ぜわしく微かながら吸うような感じがみられた。
飼い主は二度母親がその鼻を赤ん坊の腹の下に突っ込み舌で臍のあたりを伺った事に気がついた。
そこで飼い主は答えた。
育児反応と死児を食べる衝動との葛藤のはじまり。
心のやさしい絵描きはそれを信じようとしなかったが飼い主の友人はうなずき不幸にも飼い主か正しいことかわかった。
翌朝ジャガーの子どもは跡形もなく姿を消していた。
母親が子どもを食べてしまったのである。
小さいネコを舐めているのをみながらそうしたことのすべてか飼い主の心に浮かんできた。
飼い主の予測は誤らなかった。
数分後ネコは子ネコの腹の下に鼻づらを突っ込み彼を仰向げに転がした。
さらにその臍のあたりを注意深く砥めはじめすぐに前歯で腹の皮膚を噛んだ。
ネコは悲鳴をあげいっそう大きく鼻を鳴らし始めた。
ネコは再び驚いて飛び退いたか恰もこの小さい生き物を傷つけようとしていたことを突然理解したかのようであった。
育児反応苦痛の度によって掻き立てられた憐れみがもう一度優位を占めたことは明らかであった。
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